志田峠のゴミ拾いハイク

ふれあいを愉しむ『わの会』のなかで“温泉に入ってスーパーマンになる会”はネーミングのユニークさが表しているように、絶妙なコースの設定に加えて歩き終えた後に入る温泉の選択が素晴らしい。リーダーの小川国昭さんの綿密な事前調査が見事なのだ。

ただボンヤリと参加させてもらっている私は、まさしくオンの字の歩く会だと有り難く思っている。

平成19年4月、桜の季節に行われた神奈川県の水がめ、宮ケ瀬ダムに近い志田峠と清正光ハイクのときは、小川さんが作成する案内文に、“持参するもの”として「軍手」という文字が書き加えられていた。何だろうと話題になった。

小田急厚木駅から三増地区まで50分ほどバスに乗り、そこから東名厚木カントリークラブを経て志田峠へのコースを辿り出すと、青葉若葉が目にまぶしい長閑な山里に、「ゴミ持込、絶対反対!」の幟(のぼり)があちこちに林立していた。

静かな村に相応しくないこの毒々しい幟は、交通至便な都市郊外であるこの村の原野や山林にゴミ廃棄場が造られ、粗大ゴミなどがゾクゾクと持ち込まれて困っているのを物語る姿なのだ。

峠への林道の崖下にも、冷蔵庫など不法投棄された大型家庭ゴミが木立の間に引っかかっているのが見える。

ゴミの廃棄処分業者や心無い人たちが、おそらく人目につかない夜間などに持ち込んで捨てたのであろう。

そう言えば、各地で建設される広域林道や広域農道では山間区間の沿道で大型家庭ゴミの不法投棄が起きるので、開通後もそれらの広域道路の出入り口はクルマが入れないように閉鎖されている。

その姿をあちこちで見てきた。何のために広域道路を作るのか。情けない日本の現状である。

志田峠ハイクの引率者、小川さんはコースの下見をしたとき、昼食をとる予定の峠が大型家庭ゴミで荒らされているのを知った。

そこでハイキングのときには、参加した仲間でそこの清掃作業をしようと考えて、軍手持参を案内文に書き添えたそうだ。

ゆっくり歩いてきた私たちは、昼近くになって志田峠に到着した。そこでみんなが見たのは、峠の道の両側に応接ソファーから机、大型家電製品が至るところに不法投棄されている荒れた現場であった。みんなで清掃するにはゴミの量は多過ぎた。ウワ-ッという感じである。

小川さんは「先日来たときからまたゴミが増えている、清掃は止めましょう。気が滅入る。ゴミを避けた場所を探してお昼にしましょう」と情けなそうな顔でそう言った。

志田峠では目前の山間に色とりどり(?)に萌える緑が重なっている。素晴らしい光景の前に立ちはだかるような不法投棄の粗大ゴミ。それを目にしながらの食事。ハイカーの仲間たちは浮かぬ顔つきだった。

違法投棄ゴミの脇には、東京地方裁判所が命令した「この場所にゴミ投棄を禁止する」という仮処分命令文を羅列した厳しい立て看板があった。

それが今にも倒れそうに朽ちていたのが、なんとも皮肉だった。

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