ニューヨークタイムズ紙の特集記事

「成長の抑制」(Choking on Growth)
 (2007年8月25日から12月29日までにI~X報)
“ Choking on Growth Part I  The Overview”.
 http://www.nytimes.com/interactive/2007/08/26/world/asia/choking_on_growth.html

New York Times Aug.26, 2007
(最初の画面右上のWindow「Installment」を希望のPart番号をクリックする。)  特集記事のテーマ:概要、中国水資源危機、活動家、三峡ダム、エネルギー規制、野生動物の危機、長距離トラックによる汚染、養魚、2つの製鉄の町、グリーンオリンピック

本文末添付資料1にはそれらの縮小した表紙写真を纏めて提示した。

この中国の環境問題に関心を持って頂ける方は特集記事をお読み下さい。

カラー写真付きの膨大記事(3-4ページに亙る)。カラー写真だけ見ても楽しいし、記事内容も充実している。

ニューヨークタイムズ紙の特集の編成方法が日本の新聞のやり方とは全く異なり、現在のIT技術をフルに活用しているもの。

記者の現地訪問記事とその訪問の情報(写真、現地の人のコメント)は当然のこと、ビデオ、スライド、挿図、さらに、ビデオ動画にも纏めてあり、記事への読者コメント、質疑応答欄をも設けてある。

世界に散らばっている中国籍の人々が自分の出身地の状況、本国での経験などを記事にしている。 
   
中国は国の繁栄のために、1978年、鄧小平が権力を掌握して以来、「改革・開放路線」と呼ばれる近代化政策が実行されてきた。

共産党一党独裁政治体制をそのまま保持して政府直営の人民公社があるところに私企業導入を図り、西洋流資本主義制度を導入して改革を進めている。

経済の成長で国が豊かになっていくのは国民にとって好ましいことであるが、中国として初めての大規模な近代国家形成であり、負の部分の環境問題が重くのし掛かってきている。

その中で、水の確保が環境問題を大きく左右している。水確保について詳細に取り上げて見たい。

水資源問題として国家プロジェクトとして「三峡ダム」「南水北調」とがある。
中国で一番大きな問題は人口増加であり、現在の人口13億人強を食わせていくことである。

人口増を抑えるために「一人子/家族」の一人つ子政策を進める傍ら、国の繁栄を高めて行くために、水、エネルギー、特に、経済伸張のために電力確保の方策を進めている。

エネルギー用の石炭は豊富にあるが、公害要因の亜硫酸ガス、炭酸ガスを発生し、石炭代替の石油は国内採掘量は僅少であり、輸入という手段で対処している。一方、水は輸入するという手段を採ることが出来ない。

火力発電では亜硫酸ガス発生を伴うので、水を利用した水力発電の電力は国内で何としても確保しなければならないエネルギーである。

水が不足するということは、電力確保もままならず、国家発展の産業も機能せず、さらに都市生活も農業も意のままになられない。

中国の水資源総量は約28000億立米であり、世界の第6位を占める。しかし国民一人平均の水資源量は僅か世界平均の1/4しかなく、世界では第88位を占め、水資源の欠乏国に属する。そして中国の水土資源の分布はバランスしていない。

長江流域、長江以南の各河川の徑流量が全国の80%以上、耕地面積が全国の40%を占め、中国においては豊水地区に属する。

それに対して黄河、淮河、海河の三大流域と西北の内陸地域は面積が全国の50%、人口が全国の36%を占めるが水資源量が全国の12%しか占めず、中国においては渇水地区に属する。

西北地区と華北地区は鉱産物資源が豊富で中国のエネルギー、穀物、綿、食油の生産基地であり、国民経済において重要な戦略的地位を占めている。

黄河平原、淮河平原、海河平原及び膠東半島は中国の人口密集地であり、耕地化率が高く、経済の発達地区に属する。

現在、水資源の欠乏は経済発展の制約要因となり、生態環境の悪化をもたらしたので、引水は解決しなければならない課題となっている。


中国最長の大河、長江の治水は1954年の長江大洪水(死者3万人、家屋流出100万人)が契機となり計画された。

国内の水資源確保である。河の堰き止め国家プロジェククトとして1993年より湖北省の山峡ダムの建設が始まり、2003年6月から貯水開始。巨大施設は2009年完成予定である。

ダムのある湖北省から上流約660キロの重慶に至る大貯水池が出現する(添付地図)。貯水量は393億立方メートル、日本の全ダム貯水量の2倍で,日本最大貯水量を誇る奥只見ダムは約6億立方メートルに過ぎない。

2009年完成予定の巨大施設は、洪水防止や水運、水力発電により、内陸部開発の基盤となることが期待される反面、環境汚染や環境変化の懸念は、
なお消えない。

三峡ダム本体の完成時全長は2309メートルで、中国最大である。計画発電能力は世界最大の1820万kWだ。全長約600km、面積が約1084平方kmという巨大な貯水池が姿を現すことになる。

その貯水量は393億立方メートル。日本最大の貯水量を誇る奥只見ダムは約6億立方メートルにすぎない。 

ダムのある湖北省から上流約660キロの重慶にかけた大貯水池が、長江の水運に大きな利便性をもたらすのは確実だ。

一方、専門家の間では、長江の浄化能力の低下下流域での水不足など環境への影響の懸念が以前から指摘されている。「三峡ダム地区(湖北省―重慶市)」の汚水、ゴミ処理場はこれまでに計画の60%が稼働。

だが、人口3,000万人を超える重慶市など上流域が、工業・生活排水対策を少しでも怠れば、貯水池は「巨大なドブの溜池」(三峡ダムに詳しい外交筋)になってしまう。
 
国家環境保護総局は貯水開始後のダム地区の水質について、「大きな水質変化はない」との観測結果を発表した。

だが、一部水域で、大腸菌群や浮遊物による汚染が発生していることも明らかにした。不気味な兆候と言える。

いま、中国は人類史上最大の水質浄化を謳った「大運河計画」(南水北調)を進めている。運河建設で中国南部の水を北部に調達することで北部の水不足解消、「北京砂漠」解消を狙っている。

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