ヘランブー

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ここからも似たような道が続く。ところどころ凍っていてちょっとした氷瀑を登るような場面もあった。サクラソウはますます多くなってまさにサクラソウの道である。ヘランブー西尾根への分岐タレパチ3510mを過ぎると約1300mの急降下。

ピンク色のラリーグラスやサクラソウに助けられてひたすら下る。谷底に着くと今度はヘランブーの東尾根への登り、これはたいしたことなく1時過ぎにメガムチガオン2495mに着いた。

ここは大きな村でロッジもきれいである。大きなゴンパ(寺)もある。久しぶりにリゾート気分になった。

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ここからは次々と村がある。道も良くなるだろうと高をくくったがとんでもない。確かに道はよく踏まれていたが坂はますます急になった。谷の向かい側の段々畑を見ながらつるべ落としの道を下ってゆくと畑の片隅の小さな小屋でじいさんがひとりで鍛冶屋をやっていた。

私達が立ち寄るとわざわざ鞴で火をおこして実演してくれた。700m下って吊り橋を渡り再び800m登ってヘランブーの主尾根に出た。

最初のロッジで昼食。ここはロッジというよりも民宿であった。靴を脱いで上がると広い黒光りした板張りの台所兼食堂がありその隅の薪ストーブで注文に応じた料理を美人のおかみさんが目の前で作ってくれる。

ナベや食材のカンや袋は壁面の大きな棚に整然と納められていて壮観である。ここではお座敷犬を飼っていた。ヘランブーはネパール有数の美人の産地だという。ここもこの次のロッジのおかみさんもきれいな感じの良い人だった。

ここから道は良くなった。3時頃雨が降り出したので目的のセルマタンより手前のロッジに寄ったが満員で泊まれなかった。やむを得ずあと2時間じゃんじゃん降りの中をひたすら歩いた。いくつもの村を通り越してセルマタンに着いたときにはもう真っ暗だったがさすがベテランのジャコットさんはわかりにくい道でも迷わなかった。

ここの食堂はなお素晴らしかった。ストーブの前の陽気なおかみさんがてきぱきと食事を作り、良く気のつく旦那がいろいろ気を配ってくれた。磨き上げられた鍋釜が棚にずらりと並んでいるので聞いてみたら嫁に来たときに持ってきた物で祭りや親戚が来たときに全部使ってご馳走するのだと云っていた。皆大変良い気分になって遅くまで話が弾んだ。

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ここからはヘランブーの天上散歩。のんびりゆったりした尾根を下る。所々に立派な仏塔がありこの地方の豊かさを示している。真新しい金仏を祭った所もあった。幟を立てた賑やかな団体が登ってきたのでなにかと思ったら選挙運動だった。この地方の有力者である候補者は馬に乗り警察が先導していた。

最後の宿カクニには昼過ぎに着き、濡れた物を乾かしたりして休息。このロッジにもきれいな娘がいた、と思ったら若い母親だった。

夜お別れパーティをした。ジャコットさんが腕によりをかけて水牛肉の料理を作った。ロキシーやチャンという地酒がよいかと思ったら皆ビールを欲しがった。確かに地酒は安いがビールは高い。1本120ルピー位する。ポーターの日当が10ドルだからその1/3近い。

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今日は車の入るメラムチバザールまで1200m程下る。出合う人も増えてくる。

ブルーのガウンを着た少女がいた。ナマステ、と呼んだらこちらを見てニコッと笑ったのでヒマラヤバックにすかさずパチリ。近づいてもう一枚と手を振ったら恥ずかしそうな顔をして一目散に逃げていった。

後ろから若者達がわいわいやってきた。マオイスト派の選挙運動だった。昨日であった有力者のとは全く違っていた。新しいネパールを象徴するようだった。

尾根の末端の急坂を下り橋を渡るとちょっとした街並みがあり、そこにわれわれをカトマンズの雑踏に運んでくれる車が待っていた。

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